FIREフィーバー
空前のFIREブームである。猫も杓子もFIRE。ツイッターでもブログでも、FIRE FIRE FIRE!
日本人は投資をしないと言われて久しい。貯蓄から投資へ、というスローガンでは変わらなかった日本人のマインドを、このFIREという概念は一気に取っ払ってしまった。
証券会社側が仕掛け人だとしたら、これはとんでもない大ヒットのマーケティングだ。
FIREに至るまでの道のり
支出は抑えて投資にまわし、複利効果でコツコツお金を増やしましょう。その結果、経済的自立を手に入れアーリーリタイアしましょう、というのがFIREの意味合い。
この考え方はわかるが、実際に慎ましく暮らし、コツコツと利殖に励んだ人が、果たして将来、その貯めた金を使えるのだろうか。
FIRE達成したと言っても、利確して市場から勝ち逃げするわけではない。築き上げた資産をその後も市場で張り続けないといけない。当然市場は不安定なものだ。下がることもあるし、上がることもある。
そんな中、虎の子の種銭を仕事もせずただただ使っていくことができるだろうか。僕なら怖くて使えない。結局慎ましい暮らしをしたまま金を抱えて死んでいきそうだ。これでは何のためのFIREなんだということになる。
あまりにも情報が少ないFIRE
FIREを目指している人は大量にいるが、実際にFIREを達成した人はまだまだ少ない。いたとしてもその末路はまだ先の話で今の今は知る由もない。
数年後に相場の下落で文無しになってバイト生活になっているかもしれないし、死ぬまで悠々自適に暮らしているかもしれない。
まさに今FIREを目指している人たちが第一世代だ。本当は全く先の見えない話なのに、FIREの先には素晴らしい未来が待っていると信じて大行進をしている感じ、ある種の集団マインドコントロール状態とも言える。
とはいえ、このまま何もしなければ、一生社畜として搾取される側に甘んじることを確定させてしまう。だから細い細い一本の糸を掴み、極楽浄土をあるものと思い込み、その糸を昇る道を選んだのだろう。
そして僕もまたその多くのカンダタの中の1人である。