コロナ真っ只中で豊洲のタワーマンションを買った話_その1

なぜ買ったか?

2020年の秋、豊洲のタワーマンションを買った。それまでは都心の賃貸マンションに住んでいたんだけど、やっぱり家賃払うのもったいないなーと思って思い切って買った。あと決断の後押しをしたのが、マネックスの松本大社長が「ハンパじゃなく金刷りまくってるからこれから資産インフレが来る。借金してでも資産買え。俺は買ってる」的なことをコラムで言ってたのが大きい。別に普段から松本大社長を信奉しているわけじゃないけど、社長のこの説に関してはすごい腹落ち感があった。それまでもマンション買おうと思ってスーモとかはチラチラ見てたり、内覧もしたことはあったんだけど、まあコロナだしこの先どうなるか分からんし、とりあえず賃貸で様子見するか、更新したばっかりだし、と思っていたところにこのコラム。どんどん気持ちが焦ってきて、危機感をヒリヒリ感じて、よしもう一回本腰入れてマンション探そうと決意した。

なぜ豊洲か?

なんで豊洲にしたかと言うと、近くて広くて新しくて安いから。もともとその時住んでいた都心の賃貸マンション付近で物件サーチしていたが、高くて狭い、少し広いと古い、という感じでいい物件がない。正確には僕の予算では納得のいく物件は買えない。僕はコロナで完全在宅ワークになり、また会社としても在宅ワークの制度があるので、僕の通勤利便性はどうでも良くなった。でも妻は在宅と出社のハイブリッドで、今後も出社は残りそうだったので妻の通勤利便性を優先した。妻の職場に近く、それなりに広さがあり、新しめで僕でも買える値段。それで検索すると千住方面か湾岸エリアだった。

なぜ千住ではなく湾岸か?

湾岸と千住方面だったら千住の方が安い。だったら千住でもいいじゃない、という話だが、結局湾岸エリアにしたのは理由がある。

第一に売りやすいこと。まだ子供は一人だけだけど、今後増えるかもしれない。下の子が生まれて個室が欲しくなると手狭になるかもしれない。それに、僕は地方出身でもしかしたらこの先実家に帰るかもしれない。いずれにしても、10年ぐらいの住まいかな、という感覚だった。後々売るのであれば売りやすい方が良い。その点湾岸エリアのタワマンは流動性が高く、売却で困らないかなと思ったのが第一の理由。

第二に住民の均質性が高いこと。これは賛否両論あると思うが、湾岸エリアの住民は良くも悪くも自分と似たような境遇の人が多い。地方から出てきて東京で就職し結婚して家庭を築き、妻と共働きで子育てをしながら懸命に生きている勤勉な労働者。これが典型的な湾岸エリアの住民だと思う。都心に住んでいた時はタトゥーが入った半グレ、そこらでハトにパンをやるおばさん、公園のベンチでワンカップにタバコのおじさんなど、多様性に富んだ住民構成だった。湾岸エリアは先に述べたような毒気のない勤勉な人が多いので、同属的な安心感がある。

第三に子育てがしやすいこと。湾岸エリアは子育てには良いエリアだと思う。歩道は広くフラットでベビーカーが押しやすい。子供とベビーカーで気にせず入れる店が多い。大きな公園がある。ららぽーとがある。保育園も充実している。第二の理由とも重複するが、住民に均質性があり安心感がある。都心や下町の狭い歩道や起伏に富んだ地形はベビーカーユーザーにはツライ。また子供とお店でご飯を食べようにも、デートで来てるカップルや大人のお客さんばかりで気が引ける。公園はそこまで大きくなく、商業施設も僕たち庶民の客層は眼中にないので実用性に欠ける。保育園は地域によりけりだけど、湾岸エリアの充実っぷりはかなり安心感がある。最悪東雲有明だったら保育園に預けられるというセーフティネットがある。

なぜ豊洲か?

千住か湾岸かの比較では湾岸に軍配が上がった。では、湾岸の中でもなぜ豊洲なのか?

第一の理由は資産性。資産性とはすなわち流動性とリセールバリューから構成される(僕の勝手な解釈)。湾岸でマンションを買おうという時、豊洲は必ず検討の選択肢に入る。元P&GでUSJをV字回復させたマーケティングの人が言うには、選択肢に入る回数が多ければ多いほど買われる確率が高くなる。ということは、豊洲は買われる可能性が他のエリアよりも高いので、流動性は高くなる(という願望)。

そしてリセールバリュー。豊洲は三井不動産がかなり街づくりにコミットしている。現時点でも街としての完成度は高く、さらに今後も複数区画で大規模な再開発が予定されている。大幅なアップサイド(伸び代)という意味では有明などの他のエリアに劣るかもしれないが、少なくとも三井不動産が目を光らせて、維持管理していってくれるだろうという安心感がある。10年後、街としての魅力は十分に維持され、僕が売る時も少なくとも残債割れしないかなと考えた(当然願望)。

第二の理由は利便性。豊洲は有楽町線が通っており妻の通勤に便利。東雲も有楽町線が通っているが、辰巳駅はタワマン群からやや遠く、駅からの導線も何も無いのでやや利便性が落ちる。また、豊洲はららぽーとがありビバモールもあり、行政の拠点もあり、公園もあり、そして何よりスタバがいっぱいある。これは妻のポイントが高い。というかスタバが決め手になるくらいの痛恨の一撃だった。

第三の理由というか、それ以外の細かい理由は「なぜ豊洲か?」ではなく、「なぜ東雲、有明、新豊洲、晴海ではないか?」を考えた方がよりクリアになる。

なぜ有明ではないか?

高い。これに尽きる。2020年8月に有明ガーデンがオープンし、一気に有明の不動産価格が上がった。坪単価で比べると豊洲が330万円だったら有明は310-320万円ぐらい。ほとんど変わらない。

有明は豊洲よりも妻の通勤利便性が劣る。また商業施設等の充実度も現時点では豊洲に劣る。にも関わらず価格は変わらない。これでは積極的に買う理由がない。たしかに広々していて開放感があり、人も少なく僕たち好みの街だった。ただそれを理由に豊洲と同じ金出して買うかと言われると「うーん」である。あと高速道路が近い。シティタワーズ有明(通称:有明トリプル)なんかは高速の隣だし、ブリリアマーレとスカイタワーも内見したが、南東向きの部屋は向こうに高速道路が見え、窓を開けると車の音が聞こえる。音もさることながら、高速道路は街を分断する。有明はこっちとあっちで高速道路により街が二分されている。国際展示場のマックに行こうと思っても、結構心理的物理的なハードルが高い。

ネガティブなところを捲るぐらいのコストメリットが出なかった。なので有明は検討から除外した。ただ豊洲に住むようになってからちょくちょく有明に行くが、やっぱり広々としていていいところだと実感する。有明で買っていたとしても後悔はなかったと思う。

なぜ晴海ではないか?

これは有明と同じ理由。利便性が低い割に価格が高い。クロノ、ティアロ、パークタワー晴海は築年数が浅いというのもあるが、豊洲よりも遥かに高い。仮に街としての利便性が高かったとしても、単純に僕には買えない価格だった。

なぜ新豊洲ではないか?

晴海と全く同じ理由。高くて買えない。

なぜ東雲ではないか?

最後まで迷ったのが東雲。東雲は価格が圧倒的に安い。80平米台のマンションが6000万円台で買える(当時は)。駅から少し遠いし、商業施設もイオン一本足打法だが、それを捲れる価格の安さが東雲にはある。しかも僕と妻のライフスタイルを考えると、駅距離は十分許容範囲だし、イオンがあれば全く生活に困らない。ではなぜ東雲にしなかったのか。

第一の理由は豊洲にした第一の理由と重複するが、資産性が大きな理由。今安いということは、将来も安い可能性が高いこと。株なんかもそうだが、安いものには理由があるし、アービトラージは必ず埋まる。アービトラージが埋まらず現状で豊洲とこれだけ価格差があるということは、それだけ豊洲を魅力的に感じ、東雲を魅力的に感じない人が多いということだろう。将来的な発展性も、豊洲が開発余地を残していて実際に計画もあり三井の後ろ盾もあるのに対し、東雲は開発余地に乏しく、街としての方向性を見出しにくい。この辺りが価格に織り込まれているのだろう。仮に東雲の価格が上昇したところで、豊洲の価格は据え置きなんてことはなく、東雲の価格が上がった分だけ(あるいはそれ以上に)豊洲の価格は上がるだろう。僕たちは東雲を良いと思ったが、やっぱり他の多くの人は豊洲の方が良いと思うだろう。10年後にマンションを売ろうと考えている僕たちにとって、多くの人が欲しいと思う豊洲こそ最適解だと考えた。

第二の理由は街の雰囲気。東雲はタワマン密度が高く、街が暗く感じる。これが物理的な暗さだけでなく、若干の薄気味悪さも醸し出している(気がする)。そして公園がないので、マンションのエントランスや車寄せで子供が遊んでいる光景をよく目にした。子供だけで遊んでいるならまだしも、大人が一緒になってボール遊びなどをしており、ちょっと嫌だなと思った。少しやんちゃな住民が多いのかなという印象を受け、これを払拭するのが難しかった。

第三の理由はスタバがないこと。オートバックスまで行けばスタバはあるが、ちょっと遠い。途中大きな道路を渡らないといけないし不便。イオンの中にコメダがあったりするもののカフェそのものの数が少ない。今後増えるかも分からない。将来のアップサイドよりも今の利便性を買う。どうせ10年しか住まない(かもしれない)し。

話は続く

なぜ買ったのか、なぜ豊洲なのかについて書いていたら結構長くなってしまったので一旦ここで終わり。

いくらのマンション?住宅ローンは?実際住んでみてどう?彼氏はいるの?年収は?調べてみました!は、また別の機会に。

涙のオニオンボーイ

コメントする